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ブラスト加工とは?特徴とよくある問題点を解説

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ブラスト加工は金属の表面処理の1つで、研磨材を製品に打ち付けて処理を施します。
しかし、そもそもブラスト加工とはどのような場合に使われるのでしょうか。
そこで今回は「ブラスト加工の特徴」と「よくある問題点」について解説いたします。

ブラスト加工とは

ブラスト加工ってよく金属表面仕上げや金属への処理依頼で耳にしますね。ブラストというのは英語で書くと【Blast】と書きます。Blast(ブラスト)とは【吹く、吹き出し】という意味です。

つまり、【何かを吹き付ける】加工方法です。下の写真(弊社がテレビで紹介されたキャプチャ)をご覧ください。

分かります??
ノズル先端から白い何かが噴出しています。
それをこの場合はステンレス鋼板に吹き付けているのです。
そして、表面を荒らしたり、模様をつけたり、煌めきや、梨肌を形成します。
これがブラスト加工です。

ブラスト加工の呼び方が沢山あるけど何で?

ブラスト加工の中にはいくつかのバリエーションがあります。
なので、よくショットブラストやエアーブラストなど表現されます。
これは、吹き付け方の違いによるものです。

大きく分けると
・エアーブラスト(乾いた空気で吹き付ける)

・ウエットブラスト(水の力を利用して打ち付ける)

・ショットブラスト(インペラーという機構で投射材をたたきつける)

このようになります。

ブラストの方法ごとに何が違うの?

厳密には各社各様なのですが、だいたい、エアーブラストは錆び落としや装飾、塗装前処理に使用されます。
ウエットブラストは機械部品などの油がついているものをそのまま洗浄しながらブラストしたり、なんといって湿式なので爆発しやすい金属などをブラストするには最適です。
ショットブラストは強烈なインペラーで重たい投射材もたたきつけるので、機械部品や耐摩耗部品などへのショットピーニング処理や鋳物の黒皮はがしなどに使用されます。

ちなみに、ステンレス鋼やチタン、アルミに意匠的な装飾を施すのはエアーブラストが一般的です。

ブラストで吹き付けるのは何?

ブラストで吹き付けるのはいくつかの種類があります。
それは用途別にだいたいわかれています。

■装飾用

・ガラスビーズ
・ジルコニアビーズ

■錆とり、塗装前処理、塗装剥がし

・アルミナブラスト(俗にサンドブラスト)
・鉄・ステンレス カットワイヤー

■真空装置内シャワープレート等

・パウダーブラスト

■真空装置防着板

・炭化ケイ素やアルミナ

その用途用途で使い分けています。

ブラストで吹き付けるものが変わると外観は変わる?

吹き付けるものが変わると外観はどう変わるのでしょうか?
下の写真をご覧ください。
これはすべてエアーブラストで行ったもので、投射材を変えています。

吹き付ける材料とブラスト材の密度(噴出量)や投射距離(吹き出し口と材料までの距離)やエアーの圧力等で大きく変わります。

いかがですか、イメージに合わせて用途に合わせて調整できるのがブラストの良いところです。

ちなみに半導体製造装置や液晶製造装置の心臓部に投入される部品へのブラストは精密な管理が必要です。粒度管理や施工後の粗さ管理などかなりきめ細かな製造能力が求められます。さらに、アルミニウム部品の場合はアルマイト処理との相性もあるので鍍金メーカーとの連携は不可欠でございます。

ブラスト加工でよくある問題点は

よくある問題について説明します。

まず、処理する材料別に投射材(吹きつける材料と設備)を管理しないといけません。

たとえば、鉄の黒皮はがしや塗装前処理を行ったブラスト投射材と設備をそのままにして、ステンレス鋼を装飾ブラストしたとします。 そうするとステンレス鋼の表面に微細な鉄粉が付着し、【もらい錆】が発生します。せっかく美しい意匠を期待したのに、茶色いぶつぶつが出てしまい悲しくなります。この点はとても重要です。

つぎにソリ、変形、歪です。

適切な手順、設備調整を行っていないと、打ち付けた材料がソリ、曲がり、変形、歪が発生してしまいます。 特に、板状の物は湾曲してしまいますので元に戻りません。これも、十分注意して作業しないといけません。

そして、残留物です。
ブラストは吹き付けて加工する方法です。従いまして吹き付けたものが当たったときに砕けて細かい微細な残留物となって表面に残ります。

これがエレクトロニクス装置などの部品の場合、残留物がごみとなって悪影響を与えます。これは十分注意が必要です。特にネジ穴部分に頃残留物があるとネジが回らなくなります。シャワープレートの場合は穴が詰まってガスが出ません。

ビーズブラストとサンドブラストの違い

ビーズブラスト、サンドブラスト、ブラスト ごっちゃに表現されることが多いです。明らかに装飾用途なのに【サンドブラスト】と書いてあったり、明らかに塗装剥がしなのにビーズブラストと書いてあったり結構、市場ではごちゃごちゃです。

簡単に違いを説明すると
ビーズブラストは球体のまるい球をぶつけます。
サンドブラストはトゲトゲのセラミックをぶつけます。

写真上がビーズブラスト、写真下がサンドブラストです。
色合いが全然違いますし、それぞれ特徴が違います。

ビーズブラストとサンドブラストそれぞれの特徴

一般的なビーズブラストとサンドブラストの特徴を説明します。

■ビーズブラススト
貴金属の艶消しのように、煌めきと曇った表面が美しい装飾向きの仕上げです。

■サンドブラスト
ざらざらとした表面できらめき等の光の反射はありません。塗装や接着剤がアンカー効果でしっかりと食いつきます。

手垢や汚れはサンドブラストの方が激しくつきます。

ステンレスの場合、屋外でのもらい錆を懸念するとビーズブラストが推奨です。それでも、マットな質感で表現したい! という方は母材をチタンにしてください。錆びません。実際にチタン瓦はアルミナブラスト(サンドブラスト)です。

ビーズブラストによるステンレス鋼の装飾は?

ステンレス鋼へのビーズブラスト装飾は主に、鏡面加工と組み合わせる事が多いです。コントラストが美しく、ゴ-ジャスな仕上げになります。

このようにステンレス鏡面と組み合わせて表現できます。
(これは、割れない鏡“Drop”という商品で現在は製造をしていませんが、過去に製造していたころは福岡デザインアワードで入賞しました。)

最後に

多くの業界や用途で使われているブラスト加工について説明させていただきました。用途や目的でブラスト加工は変わります。

また、油断して加工すると不具合が出る事もしばしばです。
是非、ご依頼の際には用途や条件など細かくお話しいただければ最適な加工方法で対応させていただきます。

例えば、艶消しで煌めくステンレス什器を作りたい!と思っておられる方、決してブラストがしてある材料を買わないでくださいね。
#700研磨品の材料で加工して、溶接して仕上げてから最後がブラスト加工です。

そうしないと、溶接部分や加工部分に色合いが合わない残留ムラが発現してしまい、美しい什器が残念な結果となります。弊社では、キッチン丸ごと、フラッシュ扉丸ごと、店舗什器丸ごと処理ます。是非お気軽にお問い合わせください。

最後に、「でも手垢が・・・・」という方へ
最終のブラスト過去後に【Macoat_GC】を塗布してください。
しっかり表面を守ります。あわせてご検討ください。

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