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ステンレスパネルにおける不均質と均質の差について

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平成31最後の月となりました。
この平成を締めくくる記念すべき4月に弊社の複合研磨技術を使用した意匠ステンレスパネルが建築を代表する二紙に掲載いただきました。
新建築4月号(平成31年4月1日)

 

 

 

 

日経アーキテクチュア(平成31年4月11日)

 

 

 

 

この中で取り上げていただいている”不均質なテクスチャーで形成される博多献上柄の縦縞”の記載があります。
この不均質テクスチャーというものについてご説明した行きたいと思います。
まず、壁面の意匠研磨デザインはこのようになっています。

 

 

 

拡大すると

 

 

 

 

このような雰囲気になります。
構成は鏡面部の様に光っているのがバフ仕上げです。
ゆらゆらと揺らめいているのが”ゆらぎ仕上げ”
白いラインの仕上げが”String Curtain Cloud”というものになります。

まず、バフ研磨ですが
厳密にいうと、光沢バフ仕上げという仕上げとなります。

この仕上げは半導体製造装置や輸送機器等に使用されるものでは汎用のバフよりかは反射率や解像度は良いのですが、一般的に使用される建築用鏡面材とは違います。
大きく異なるのは、一般的に建築に使用される鏡面は筋がないか薄い筋がある程度ですが、この光沢バフは映り込みはそこそこ良いですが、縦ラインが入ります。
今回のコンセプトが”博多献上柄”という縦縞がコンセプトであることでマッチングしたため採用しています。
また、屋外外壁に使用する為、反射公害を防止するために通常使われる建築用鏡面材の約半分の反射で抑えています。
一般的には建築用であまり持ちることはないバフ仕上げですが、厨房やダクトでは多く見られます。
今回の様に屋外や屋内での主役となる仕上げには中々使用することをためらってしまう仕上げです。
なぜならば、その強いバフラインが他の意匠を損なう事が度々起こるからです。
今回それが使用できたのは”博多献上柄”縦縞コンセプトがあったことが意匠活用への後押しをしてくれました。

つぎに、”ゆらぎ仕上げ”です。
これは、不均質で振幅幅が異なる様々な揺らめきが重なり合い、立体感と奥行きがあるように見える仕上げです。
これは、イラストや印刷、転写の様に同じ模様や同じ印象が繰り返されないように、意匠研磨加工機を専用に開発して、都度同じような軌跡は描くが全く同じような反射や輝き、研磨ラインの形成にはらないというものです。 この仕上げを使う事で印刷やイラストの様に単調なものではく、金属本来の金属光沢と反射を反映したそれぞれ独立した印象を与えるラインを形成することが可能となります。
標準商品である”ゆらぎ”を今回の外壁においては縦縞の中に現れる”ひし形模様”の再現として、遠くから見ると”縦縞”、近くから見ると”ひし形”。 この建築家のイメージを具現化する為に、振幅幅を特別に調整したコントラストと、遠近テクスチャーを調整した仕上げとしました。

 

 

最後に”String Curtain Cloud”ですが、このStringu Curtainというのはその名の通り、糸のカーテンをモチーフとして形成する研磨ラインの事です。
一本一本がヘアラインの様に筋の様に見えますが、実はうよく見ると編み込まれたようなラインが形成されています。
この編み込まれた研磨目の形成により、遠くからの視認性を向上させ縦縞をしっかりと表現できるテクスチャーを形成します。
ただし、今回の外壁用途においてはバフ部分とゆらぎ部分とのコントラスト調整及び、博多献上柄の白色ライン部を表現するために、標準よりも白く反射を抑えたラインとしなければならず、特別に研磨目が密集した白くまっすぐで視認性の高いラインを形成いたしました。
この編み込みラインはゆらぎと同様のコンセプトがあり、不均質で都度研磨目の軌跡が変化し、イラストや印刷のような均質なテクスチャー形成にならないような装置構造を構築しております。

 

 

このように、一般的に建築で使用される鏡面材と違い、”ボヤっと”してラインのあるバフ研磨をベースに用い、不均質な2種類の研磨目で博多献上柄をオマージュしています。
イラストや印刷のようなテクスチャーではなく、あくまで金属本来の質感や光沢を重視し、遠近で見え方の違う博多の献上柄を表現するという建築家の思想を核としております。

ちなみに、研磨で均質的で画一的・表現が必ず同じようになる手法というのはマスキングや型をもちいた手法となります。
この手法は均質的な空間を金属光沢で表現する事には非常に適しており、公共施設等では多く用いられるいものです。

 

 

 

 

 

 

 

建築家やデザイナーの思想と形成される空間で表現手法は異なってまります。

 

均質な表現と不均質な表現について、いかがだったでしょうか?

金属の表現は無限大です。
是非、皆様の創造する空間に金属表現を取り入れて見られませんか?

 

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