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金属耐食性について ~その使い道 選定方法について~

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金属の種類による耐食性の違い

耐食性とひとくくりにしても実は、腐食対象物によって性能が大きく変化します。
金属の種類によっては、塩害地域や酸性雨などの環境にも耐えうる性質を持つ金属があります。
例えば海水を例にとるとプラチナや金は全くびくともしません。 チタンも同様です。
しかし、ステンレス鋼においては鋼種グレードによっては錆びてしまいます。
銅系の物もアルミも同様です。
しかし、海水に強いチタンでもフッ化水素などの環境では腐食します。
金も王水(濃塩酸と濃硝酸を3:1の体積比で混合してできる橙赤色の液体)には溶けてしまします。

そこで、今回ご説明するのは一般的な環境で使用された場合の耐食性についてご説明します。 内陸や海に近い場所なんかで使う屋外用の意匠建材という切り口でご説明します。

内陸で使われる場合

海から遠く離れた内陸部では多くの金蔵素材が使用できます。
今回は塗装によるオーバーコートをする金属は除外します。
塗装は樹脂塗膜の性能に左右されるので、金属の耐食性というよりは塗装被膜の耐食性能に左右されるからです。

屋外で一般的に使用される金属は
ステンレス鋼 アルミ チタン 銅です。

まず銅ですが、一般的に知られているのは社寺仏閣の屋根です。

元々の色合いは銅の色ですが、長年の年月を刻み、緑錆という緑色の錆で表面を守っています。 ステンレス鋼やチタンの不働態膜と同様に腐食の進行を押さえています。
対して、黒っぽい銅板になってしまうと炭酸銅というものになり、腐食が進行してしまいます。
最近は酸性雨の影響が強く、自然な緑錆が出来にくくなっている環境になりつつあります。

次はアルミニウムですが、アルミ単体では腐食を防げないため、アルマイト処理という鍍金処理を施し、場合によってはさらに塗装しています。
これも、アルミの性能というよりは鍍金の性能や塗装性能に左右されます。

ですから、アルミの屋外使用については鍍金メーカー様や塗装メーカー様にお伺いするのがよろしいかと思います。

次はチタンです。
内陸では全くといっていいほど、腐食の心配はありません。
気をつけるのは汚染物質の飛来による変色だけになります。
基本的に、大きく外観が損なわれることはほぼありません。

黄金色のチタン屋根。

詳しくは → コチラ 【チタンの特性とIP_Goldチタンの耐久性について。】

チタンの特性とIP_Goldチタンの耐久性について

次はステンレス鋼です。
基本的に汎用ステンレス鋼 SUS304が使用されます。
内陸であればほぼ問題がありません。
ただし、内陸地でも温泉地が近いとか火山が近いところは腐食します。
さらに、よくある事ですが、海の水が逆流してくる川の近くは錆が出てしましいます。
加えて、道路付近で凍結防止剤を冬に膜う場所も同様に錆が出てします。

厨房や内装に使用されるSUS430は残念ながら屋外では錆びてしまいますので同じステンレスだからといって安心すると錆びてしまいます。

福岡市の中心部にある神社本堂の手摺です。
汎用ステンレス鋼 SUS304で製造しております。

ところが、SUS430で屋外用途のパネルを作製すると、内陸部分であっても錆が発生します。
ステンレス鋼は【錆びない】のではなくて、【錆びにくい】のです。
鋼種グレードというのは、ステンレスは鋼です。 鉄にいろいろな希少金蔵を混ぜて鋼を作ります。 ステンレス鋼の表面には強固な酸化被膜が形成されて、酸化・腐食を防ぎます。
鋼種グレードが良いものはそれだけ希少金属の含有率が高く腐食に強くなります。
厨房に主に使用される屋内用途のSUS430は屋外ではどうしても耐食性を維持できません。
鋼種グレードが良いものは、【錆びるまでの期間が長くなる】という認識で理解されるとステンレス鋼の鋼種グレードなどへの知識が広がります。

内陸部 福岡県太宰府市 工場壁面へのSUS430金属パネル耐候性試験。
このように錆が多量に発生しています。

詳しくは → ステンレス外壁の選び方は?最新情報から注意点まで解説!

ステンレス外壁の選び方は?最新情報から注意点まで解説!

海に近い場所で使われる場合

海に近い場所では海塩粒子が飛んできます。
それ故に、塗装した表面も、メッキも汎用ステンレス鋼も腐食が起こります。
ここで抜群に強いのはチタンです。
チタンはプラチナに匹敵する塩害耐性があります。 故に、海中の構造体など重要な部分に非常に多く採用されています。
ステンレス鋼も鋼種グレードを選定する事で錆の発生を遅らせます。
比較的海から遠いところではSUS316が一般的に使用されます。 これはモリブデン配合のステンレス鋼です。
海に近づくにつれて、鋼種グレードを大幅に向上させなければなりません。
使用用途と場所を勘案して、ステンレス鋼の鋼種グレードを選定する必要があります。

海から比較的近く、海水が滿汐で登ってくる河川の近くにある建物の外壁は周辺の初錆状況を確認して耐食鋼種 フェライト系ステンレス鋼 NSSC220Mを使用しております。
周辺の環境から液切なステンレス鋼種を選定する事は非常に重要です。

その他の環境(火山、温泉地など)

金属を腐食させる環境は自然界においては、火山、温泉地などがあります。
また、近隣に鉄粉が舞い上がる場所があると錆が発生します。
屋外での金属材料使用の際は、周辺状況をよく観察して選定すると長持ちしてメンテナンス費用の削減になります。

簡易的な対策

既に取り付けてしまったり、取り外せない場所につけてしまった折にはどうするかという事ですが、塗装をすることが出来れば解決です。
しかし、入り組んで塗装が出来ない、色がつくことで印象やデザインが変わるといった不都合が出る場合があります。
長期の耐久性は使用環境次第ですが、何度か簡便委塗りなおすコーティングという手法で後施行すれば大方錆の発生は抑制されます。
例えば、弊社のMaCoat GCというコーティングですが、簡便にコーティングする事が可能です。
屋外においても錆の抑制効果があります。

右側がMacoat GCコーティング部分、左はSUS304そのままです。
内陸部で高速道路の脇で耐候性試験をしておりますが、このようにコーティングしている部分としていない部分で差が顕著に表れます。
諸般の理由で鋼種選定が出来ていない状態で施工完了した折には一つの選択肢として、後コーティングも視野に入れられると良いかと思います。

耐食性コーティング剤 Macoat GC
詳しくは → コチラ

金属コーティング液販売

まとめ

耐食性とは様々な場所、環境、で大きく変わります。
今回は自然環境で苛酷な海を中心とした耐食性をご紹介しましたが、実際には、火山や、温泉地などで発生する硫化水素など特殊なガス環境下での耐食性も検討が必要です。
また、化学プラントや腐食液が浮遊する環境など、状況は千差万別です。
それぞれの耐食性を確認して、特にステンレス鋼は【鋼種グレード】を十分に吟味したうえで使用されると安全安心な環境を得られます。

ステンレス鋼種グレードについてはお気軽にお問い合わせください。
今回は記載していませんが、研磨加工によっても耐食性は変わりますので、ステンレス鋼種グレードと意匠研磨加工の組み合わせでご検討いただくのがよろしいかと思います。