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ステンレス鋼のマット加工について

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ステンレス鋼の光沢とその課題

ステンレス鋼は、バフ研磨を施すことで鏡のような光沢を持つ鏡面仕上げが可能です。

この美しく輝く表面は、食品機械や医療設備など、清潔さが求められる環境で広く活用されています。

しかし、鏡面仕上げのステンレス鋼には以下のような課題があります。

・高い光反射率:強い太陽光や人工光を反射するため、屋外に使用すると光害(反射公害)を引き起こす可能性があります。

・指紋や汚れが目立ちやすい:光沢があるため、指紋や手の跡が付きやすく、頻繁な清掃が必要になります。

・落ち着きのあるデザインには不向き:高級感がある一方で、シックで落ち着いたデザインを求める場面では、光沢が強すぎることがあります。

このような課題を解決するために、ステンレス鋼にマット加工を施すことで、光沢を抑え、防眩性を高め、落ち着いた金属の風合いを出すことができます。

マット加工にはさまざまな手法がありますが、特に代表的なものとして ヘアライン仕上げ、バイブレーション仕上げ、ブラスト仕上げ の3つのカテゴリーがあります。

鏡面金属のマット加工とは>>>

 

ヘアライン仕上げ

ヘアライン仕上げとは?

ヘアライン仕上げは、ステンレス鋼の表面に細かい連続した直線の筋目を施す加工方法です。この仕上げは、

・落ち着いた高級感のあるデザイン

・指紋や汚れが目立ちにくい

・光の反射を抑えたマットな風合い

といった特徴を持ち、エレベーターの内装や建築物の壁面装飾、家電製品の外装などで広く使用されています。

ヘアライン仕上げとは?>>>

ステンレスとアルミへのヘアライン研磨について>>>

 

ヘアライン仕上げの製造方法

ヘアライン仕上げは、研磨ベルトやバフを用いて一定方向に細かい傷をつけることで実現されます。

仕上げの粗さは、使用する研磨ベルトの番手によって調整可能で、細かいものほど滑らかな印象になります。

 

ヘアライン仕上げの用途

・エレベーターのパネル

・家電(冷蔵庫、電子レンジなど)

・建築物の外装や内装

・キッチンカウンターやシンク

 

バイブレーション仕上げ

バイブレーション仕上げとは?

バイブレーション仕上げは、全方向に不規則な模様をつける研磨方法です。

直線的なヘアラインとは異なり、円や曲線が混ざった独特な風合いを持ちます。

・個性的で高級感のあるデザイン

・光の乱反射により防眩性が向上

バイブレーション研磨とは?>>>

ステンレスバイブレーションのメリット・デメリットとは?>>>

 

バイブレーション仕上げの製造方法

バイブレーション仕上げは、ランダムな動きをする研磨パッドや回転バフを使用し、円を描くように研磨することで作られます。

この不規則な模様が独特な質感を生み出し、均一でないデザインを求める建築や家具などで採用されています。

 

バイブレーション仕上げの用途

・デザイン性の高い建築物の外装や内装

・ホテルやレストランのインテリア

・高級車の内装や装飾パネル

・高級家具の天板や装飾部材

 

ブラスト仕上げ

ブラスト仕上げとは?

ブラスト仕上げは、細かい研磨材(メディア)を高圧でステンレス鋼の表面に吹き付け、均一なマット質感を作る加工方法です。

この仕上げの特徴は、

・非常に均一なマットな仕上がり

・光の反射を大幅に抑える高い防眩性

・耐久性が高く、傷が目立ちにくい

という点にあります。特に、建築やインフラなど屋外での使用に適しています。

ブラスト加工とは?>>>

 

ブラスト仕上げの製造方法

ブラスト仕上げには、使用する研磨材(メディア)によって異なる種類があります。

・サンドブラスト(砂粒を使用)

・ガラスビーズブラスト(ガラス粒を使用)

・ショットブラスト(金属粒を使用)

使用するメディアの種類や粒度によって、表面の質感や粗さを調整できます。

 

ブラスト仕上げの用途

・高級建築の外装

・橋梁やトンネルの装飾パネル

・公共施設やモニュメント

・産業設備や機械部品

 

軽量化によるメリット

輸送コストの削減

製品の重量が半分になることで、輸送時のコストが大幅に削減されます。

 

施工の負担軽減

軽量化により、現場での取り扱いが容易になり、施工時間の短縮や作業負担の軽減につながります。

 

環境負荷の低減

鋼材の使用量を減らすことで、製造時のエネルギー消費を抑え、CO₂排出量の削減に貢献できます。

 

コストダウン

使用する鋼材量が減ることで、材料費の削減につながります。

 

まとめ

ステンレス鋼のマット加工には、ヘアライン仕上げ、バイブレーション仕上げ、ブラスト仕上げの3種類があり、それぞれ異なる質感と特性を持っています。

用途に応じた適切なマット加工を選択することで、デザイン性と機能性を両立したステンレス鋼製品を実現できます。

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