アルミニウムは軽量で加工しやすく、白銀色の素材感を生かせる金属です。一方、屋外や塩分環境では表面保護の考え方が重要になります。本記事では、元記事で実施した塩水噴霧試験1028.8時間の記録をもとに、A1050・A5052へMaCoat GCを施した試験片と、アルマイト、SUS304、IPゴールドチタン、ZAMを比較します。
01アルミニウムの耐食性と表面処理
アルミニウムは一般に、陽極酸化皮膜であるアルマイトや塗装、クリア塗装などで表面を保護して使用されます。これらは耐食性や意匠性を高める一方、仕上げ方法によってはアルミ素地の白く明るい質感が変化します。
金属ごとの耐食性を広く比較する場合は金属の耐食性比較、アルミニウムの意匠設計はデザイニングアルミニウムも参考になります。
02MaCoat GCを試した目的
元記事では、アルミ本来の質感をできるだけ残しながら耐食性を補う方法としてMaCoat GCを評価しました。対象はA1050のミラー・ビーズブラスト、A5052のバイブレーション・梅枝・Metal Kilimなど複数の意匠仕上げです。
MaCoat GCの有無だけでなく、A1050とA5052、さらに表面仕上げの違いによって腐食状態に差が出るかを比較することです。
03塩水噴霧試験の位置づけ
塩水噴霧試験は、試験片へ塩水を連続的に噴霧し、腐食状態を比較する試験です。元記事では中性塩水噴霧試験とCASS試験にも触れています。
| 試験 | 概要 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| 中性塩水噴霧 | 5%塩化ナトリウム溶液を使用する代表的な比較試験 | 試験片間の腐食傾向を比較する |
| CASS | 塩水に酢酸・塩化第二銅を加えた、より厳しい条件 | 中性塩水噴霧とは条件が異なるため直接同一視しない |
塩水噴霧時間をそのまま屋外使用年数へ換算することはできません。元記事でも、実環境のすべての因子を再現する試験ではなく、従来品・開発品などの比較評価として扱っています。
04比較した試験片
| 材料・仕上げ | 比較目的 |
|---|---|
| A1100アルマイト | 一般的なアルミ表面処理との比較 |
| A1050生材 | 無処理アルミの基準 |
| A1050ミラー+MaCoat GC | 光沢面での保護効果 |
| A1050ビーズブラスト+MaCoat GC | マット面での比較 |
| A5052バイブレーション/梅枝/Metal Kilim+MaCoat GC | 合金・意匠仕上げ別の比較 |
| IPゴールドチタン | 高耐食材との比較 |
| SUS304ヘアライン | 汎用ステンレスとの比較 |
| ZAM | 表面処理鋼板との比較 |
IPゴールドチタンの試験・耐久性はIP Goldチタンの技術記事でも解説しています。
05211〜1028.8時間の経過
元記事では211時間、477.5時間、812.5時間、1028.8時間の途中経過を撮影・記録しています。単一時点だけでなく、腐食の進行を同じ試験群で追っている点がこの記録の重要な部分です。
以下の図版は元記事の試験開始前・経過観察・1028.8時間後の詳細写真をすべて保持しています。






























061028.8時間後の比較結果
1028.8時間後、元記事ではA1050ミラー+MaCoat GCについて、A1050生材と比べて鏡面の損傷が少なく、光沢が比較的維持されたと記録しています。一方で部分的な腐食は確認されています。
A1100アルマイトではシミ状の腐食と光沢低下、SUS304ヘアラインでは薄茶色の初期錆、ZAMでは大きな腐食が記録されています。IPゴールドチタンは元記事の観察では損傷が確認されませんでした。
これは同一試験条件下の比較結果であり、屋外寿命や特定地域での耐用年数を直接保証するものではありません。
07用途選定と注意点
元記事の結論では、MaCoat GCを施したアルミは屋内の意匠用途を推奨しています。屋外では内陸・沿岸・温泉地など環境条件を分け、ステンレスやチタンを含めて材料選定する必要があります。
沿岸や温泉など厳しい腐食環境については温泉腐食とチタン、外装材の選び方はステンレス外壁の選定もご覧ください。
08FAQ・まとめ
塩水噴霧1028.8時間は屋外で何年に相当しますか?
一概には換算できません。実環境の温湿度、塩分、雨洗、異種金属接触などを再現する試験ではないため、比較試験として読み取ります。
MaCoat GCを施せばアルミを屋外で使えますか?
元記事ではMaCoat GCを施したアルミは屋内推奨としています。屋外では環境条件に応じてアルマイト、塗装、ステンレス、チタンなども含めて検討します。
どの仕上げで試験しましたか?
A1050のミラー・ビーズブラスト、A5052のバイブレーション・梅枝・Metal Kilimなど複数の意匠仕上げで比較しています。
まとめ
この試験は、アルミの素材感を残す表面保護を検討するための比較データです。MaCoat GCは試験中に一定の保護効果が確認された一方、用途は環境条件と求める外観を含めて判断する必要があります。